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神戸大学共同研究|山陽建材工事株式会社

熱負荷シミュレーション

窓の性能表示

    冷暖房負荷を考えた時に窓の重要性は先の図でも示されておりますが、Low-Eガラスについて下の様な解説イメージをご覧になったことは無いでしょうか?

  • 【夏場のメリット】
    「遮熱効果」で暑い日差しを軽減


  • 【冬場のメリット】
    「断熱効果」で快適な空気を逃さない

    • これらは、それぞれの窓(サッシ)が持つ性能値(カタログデータ)を表現したもので、たしかに魅力的な数値となっています。

      夏涼しくて、冬暖かい、高機能ガラスの特性であり、セールスポイントではありますが・・・


    シミュレーション結果の実際

      ガラス単体としての性能は、紛れもなく上記の通りです。ただ、実際の改修工事において、窓を交換した場合に性能差の通り空調負荷は軽減されるのでしょうか?

      以下は、典型的な集合住宅モデル(日本建材産業協会研究開発委員会)について、改修の効果を検討した研究結果です。

      数値は大規模改修を前提として、1棟全体での結果を示します。

      計算にあたっての建物の諸条件等は後述の資料を参照して下さい。
      また、年間熱負荷の算出にあたっては、冷房期間(5/15~10/15)および暖房期間(11/15~4/15)は空調(生活)スケジュールに基づいて空調装置を稼働させるという前提があります。

      真空ガラスのスペーシア21は、現状トップレベルの遮熱性・断熱性を持つLow-eガラス窓です。極端な例示かも知れませんが、上限値を知るという意味で比較対象としました。
      最高グレードの窓に改修した場合の空調負荷軽減は、 建物全体の断熱性能が高い場合で約9%建物の断熱性能がそれほど高くない場合は約4%止まりとなります。意外と効果が小さい?と思われたかも知れません。

      では、建物全体をみた場合に、屋根・壁・窓の各部位の熱負荷に及ぼす寄与はどうなっているでしょうか。


  • 【建物の断熱グレードが低いケース】
  • 【建物の断熱グレードが高いケース】


    • 平成4年度の省エネ基準でのモデルのイメージとは趣の異なった結果ではないでしょうか。
      実際の建物(本件は集合住宅)では、各部位の断熱性能及び面積によって寄与の大きな部位=「弱点」が見えてきます。
      繰り返しになりますが、建物自体の熱性能を知れば、 費用対効果の高い改修を行うことが可能 ということです。


    シミュレーションの条件
    日本建材産業協会研究開発委員会 集合住宅モデル

    概観図


    ●建物外皮面積
    外皮面積[m2]
    屋根377.9
    704.1
    256









    ●住戸構造仕様
    部位材料名厚さ
    [mm]
    密度
    [kg/m3]
    熱伝導率
    [W/mK]
    比熱
    [kJ/kgK]
    熱抵抗
    [m2K/W]
    戸境壁コンクリート15024001.68000.09
    EP塗装(両面とも)0.212500.350.57
    内壁石膏ボード12.59100.1711000.07
    中空層----0.15
    石膏ボード12.59100.1711000.07

    (上階天井含む)
    合板3.05500.1913000.02
    断熱材50500.04413001.14
    コンクリート15024001.68000.09
    カーペット124000.088000.15


    ●シミュレーション条件
    条件入力項目
    天候区分大阪
    方位バルコニー南向き
    総戸数20戸(5戸/階)
    階数地上4階 階高2.7m
    延床面積/建築面積1511.4/377.9
    1世帯当たりの人数4人
    計算期間1/1~12/31
    エアコン設定温度冷房 26℃
    暖房 22℃
    ●各住戸概要
    室名床面積[m2]冷暖房
    居間、食堂、台所27.78
    和室12.15
    洋室113.05
    洋室210.65
    玄関、洗面所12.54

    延べ床面積75.75m2
    総開口面積12.8m2(20%)
    冷暖房延べ床面積63.05m2(83.4%)

    ●空調スケジュール